【翻訳】靴について知っておくべき 10 のコト:パート 1

この記事は Justin FitzPatrick による The Shoe Snob Blog の記事 “THINGS TO KNOW ABOUT SHOES: PART 1 – THE FIRST 10” を翻訳したものです。翻訳を快諾してくれた Justin に感謝いたします。また、内容は多少の意訳を含んでおり、翻訳に際して私のミスがある可能性も十分にご了承ください。もし間違いがありましたら、Twitter 等でご指摘いただけると嬉しいです。


Skoaktiebolaget で見つけた Enzo Bonafe のブーツ。画像:The Shoe Snob Blog

人は靴について多くの疑問をもっています。それも簡単には答えが見つからないような疑問です。

ここでは、私がこれまで経験してきたさまざまな場面だけでなく、この業界にいる間に学んだ事実や私見から、考えられる限りベストな回答をしてみようと思います。

まずは、疲れた日曜夜の頭でかき集めた最初の 10 つです。是非、お楽しみください。

Edward Green。画像:The Shoe Snob Blog
Edward Green。画像:The Shoe Snob Blog

#1

靴の革には、質の善し悪しにかかわらず、履きじわがついていきます。このことは頭にいれておきましょう。もし履きじわがつくのが嫌であれば、黙ってスエード革の靴を履くことです。履きじわについてよく知るために、こちらを読んでください。また、革に関するこちらの投稿もためになるでしょう。

#2

シューツリーは使ったほうがいいですか? この質問は以下のような質問と似ています。

車は洗ったほうがいい? 服にはアイロンをかけたほうがいい? 毎日シャワーを浴びたほうがいい? 歯は磨いたほうがいい? 運動はしたほうがいい?

どう判断するかはあなたに任せます。シューツリーは必要だと判断したら、こちらを読んでください。

www.theshoesnob.com。画像:The Shoe Snob Blog

#3

私の靴はハンドメイドですか? 靴の中にそうだと書いてあります。

違います。それはあなたに靴を買わせるためのマーケティング上の嘘です。ほとんど(約 99%)の既成靴(在庫があって、あなたがクレジットカードを取り出すのと同じくらいの速さで品物を用意できる)は、工場の中で、靴を作る機械とそれを扱う労働者によって作られています。機械に通すために靴に手で触れているというだけで、ハンドメイドではありません。もちろん、ビスポークの靴は例外ですし、Vass 製(ほんの一握りのうちの一つです)の靴は完全に人の手によって作られています(実際に見たわけではありませんが、信頼できる情報源からそう信じています)。使っても “ハンドメイド” を謳うことが許される唯一の機械は、アッパーを縫い合わせるためのミシンです。たとえハンドソーン・ウェルトでもアウトソールを付けるのに機械を使えば、それはハンドメイドではありません。誰に何と言われようと構いません。靴の価格が 1500ドル / 1000 ポンド / 1200 ユーロ を超えるかどうかは、ハンドメイドかどうかを知る最初のステップとしてわかりやすい指標です。ただし、もし超えたからといって、必ずしもそれが完全に人の手で作られたことを意味するわけではありません。真のハンドメイドについての投稿がこちらにあります。

Gaziano & Girling のビスポークシューズ(ハンドメイド)。画像:The Shoe Snob Blog
Gaziano & Girling の既成靴(ハンドメイドではない)。画像:The Shoe Snob Blog

#4

グッドイヤー・ウェルト製法の靴のほうがマッケイ製法の靴より優れていますか? ベントレーのほうがフェラーリよりもいい?

この答えはいくつかの要因によって左右されます。一概にイエスともノーとも言えません。私は個人的にはグッドイヤー・ウェルト製法の靴が好きですし、優れていると思いますが、それは私のニーズに合っているからです。あなたにとっての正解を知るために、以下の質問を自問してみてください。

  1. 堅くてしっかりした靴が好きですか? イエスであれば、グッドイヤー・ウェルト製法をおすすめします。より柔軟でソフトな靴が好みであれば、マッケイ製法が正解です。
  2. 簡単にソール交換ができるほうがいいですか? それとも一度ダメになったら新しいモデルに買い換えるタイプですか? グッドイヤー・ウェルト製法の靴は簡単にソール交換ができます。しかし、マッケイ製法の靴は簡単にはできません。不可能ではありませんが、ほとんどの修理屋はその方法を知らないか、もしくはそのための設備を持っていません
  3. がっしりと重量感のある見た目の靴が好きですか? それなら、グッドイヤー・ウェルト製法が正解です。ソールが薄く、よりスリムなシルエットのものが好みであれば、マッケイ製法が正解です。

製法の違いについてのより詳しい解説は、こちらの記事を読んでください。

Stefano Bemer の靴職人。画像:The Shoe Snob Blog

#5

靴職人は修理屋ではありません。150 年前は両者の区別はありませんでしたが、今日では靴職人が作った靴を直すのは修理屋の仕事です。靴職人を修理屋と呼んではいけません。それは侮辱行為です。

靴の修理屋。画像:The Shoe Snob Blog

#6

靴磨きが革の状態を整えてくれるというのは迷信です。革の状態を整え、修復してくれるのはコンディショナーです。靴磨きをすることで革は徐々に乾燥していき、ひび割れを起こしてしまいます。このような靴磨きによるマイナスの効果を打ち消すにはコンディショナーが必要です。

コンディショナー / リノベーター。靴の最高の友!画像:The Shoe Snob Blog

#7

かかとに指が入る隙間があることは、サイズが大き過ぎるということを意味しません。特に座った状態でそれをやっている場合は(足が伸び切っていませんし、足のアーチも平らになっています)。そんなことをするのは馬鹿げていますし、そんなことをする人はまぬけです。私が持っている一番小さい靴でも、完全に足を前に押し出して細長いトゥの中につま先を押し込めば、かかとの後ろに指が入ります。でも、それで靴をハーフサイズ下げるなんてありえません!私のものすごくきついビスポークシューズでさえ同じようにすれば指が入ります!

#8

かかとが浮いてしまうのは、履き慣らす前の新しいヒールカウンター(ヒールの形を維持するための堅くて小さい部分)が原因かもしれません。良い靴であれば、何度か履くうちに柔らかくなってきて、あなたのかかとにフィットするように形が変わっていくはずです。繰り返すようですが、かかとが新しい靴に完全に固定されないということが、サイズ間違いを意味するわけではありません。

Koji Suzuki のビスポークシューズ。画像:The Shoe Snob Blog

#9

スエード革は雨でも履けます。赤子のようには扱わないように。良質なスエード革はそう簡単には痛みません。安物のスエード革は違いますが… この大きな誤解についての投稿がこちらにあります。

毎回、履いたあとには蒸気を当ててブラシをかけるようにすると、長持ちしますし、全体的な見た目もよくなります。ケトルやスチームアイロンで蒸気を当てるようにしましょう。

#10

靴に埋め込み式のトゥスチールをつけましょう。ヒールスチールのようなうるさい音は出ません。すり減ったトゥをソール交換する頻度も低くなります。

埋め込み式のトゥスチール。画像:The Shoe Snob Blog

コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です