革靴は、普段身に着けるものの中で特にカビが生えやすいです。
大切に履いているつもりでも、ふと気がつくとカビが生えてしまっている、ということはよく起こります。
この記事では、革靴に生えたカビの取り方と、カビを生やさないための予防法を解説します。
重要アイテム!皮革製品用の除菌スプレー「モールドクリーナー」
革靴に生えたカビ取りに欠かせないアイテムが、「モールドクリーナー」です。
革靴のケア用品を多く取り扱う M.モゥブレィというブランドが販売する、皮革製品専用のカビ取りスプレーです。
有機ヨードと呼ばれる天然成分による除菌が特徴で、塩素系のカビ取り剤と違い、皮革製品に使用しても色落ちなどの心配がありません。
また、アルコール等と違ってカビの予防効果も高いため、一度カビを落としてもまたすぐに生えてしまう、といった心配もありません。
モールドクリーナーの他に、同じ M.モゥブレィから出ている「ナチュラルフレッシュナー」というスプレーもおすすめです。
カビの予防効果はモールドクリーナーに劣りますが、消臭効果があるのが特徴です。
アルコールやエタノールを使った靴のカビ取りはおすすめしません
カビ取りに、アルコールやエタノールなどの薬品を使うのはあまりおすすめしません。
これらの薬品は、カビを予防する効果が小さいため、一度カビを落としても再繁殖する可能性が高いです。
モールドクリーナーのような、カビを取り除きながら、しっかり予防もできる専用の除菌スプレーを使うことをおすすめします。
カビだけでなく、臭いや汚れもひどい靴は水洗いを
この記事ではスプレーを使ったカビ取りの方法をご紹介していますが、カビだけでなく、臭いや汚れもひどい場合には、水洗いを検討してみてください。
カビよりも、むしろ臭いのほうが気になるという場合は、先ほどご紹介した「ナチュラルフレッシュナー」を使ってみてください。
モールドクリーナーを使って、革靴に生えたカビを取る手順
今回は、こちらのビッシリとカビに覆われてしまった靴を例に、カビの取り方を解説します。
綺麗に落とせるのか心配になりそうですが、写真のようなひどい状態でも、モールドクリーナーを使って簡単に綺麗にカビを落とすことができます。
スエード靴のカビ取りは、スエード専用シャンプーを使った水洗いを
スエードの場合は、カビが革の繊維の奥まで根を張っていて、無理に取ろうとすると、革の風合いが変わってしまうリスクがあります。
スエード靴のカビ取りは、モールドクリーナーを使うよりも、同じ M.モゥブレイから出ているスエード専用シャンプーを使って水洗いするほうが個人的にはおすすめです。
モールドクリーナーの他に準備するもの
モールドクリーナー(あるいはナチュラルフレッシュナー)の他に、以下のものを準備します。
シューキーパー
まず、靴が型くずれを起こさないよう、シューキーパーを用意します。
靴の形を綺麗に保つためには、靴のサイズに合ったシューキーパーでなくてはいけません。
カビ取りが終わった後も使えるものなので、まだお持ちでない方は、下記の記事を参考に選んでみてください。
布
除菌スプレーを吹いた後、カビを拭き取るための布を使用します。
カビ落としに使った布にはカビが付着してしまうので、一部しか使っていなくても基本的には使い捨てになります。
もし、捨ててもいいような使い古した T シャツなどが家にあれば、そちらを使っても構いません。
歯ブラシや綿棒(必要であれば)
布では拭き取りにくい箇所に生えているカビは、歯ブラシや綿棒を使います。
コバ(アウトソールが側面)には歯ブラシ、ウィングチップの穴等には綿棒を用意しておきます。
布だけで拭き取れる場合は必要ありません。
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それでは、実際の手順をご紹介します。
手順は全部で 4 ステップ、作業にかかる時間は 10 〜 15 分程度です。
モールドクリーナーやシューフレッシュナーは吸い込むと身体に毒です。できれば屋外で作業するか、風通しのいい部屋でマスクを着用して手入れするようにしましょう。
ステップ 1. シューキーパーを入れる
まずは、シューキーパーを入れます。
靴紐は外しておきます。
ステップ 2. モールドクリーナーを吹きかける
モールドクリーナーを使用する場合は、靴から 40cm くらい離して全体に行き渡るようにスプレーします。
靴の中やアウトソールにもしっかりスプレーを吹きます。
靴紐にカビが生えている場合は、靴紐にもスプレーを吹いておきましょう。新しい靴紐に買い換えてもいいかもしれません。
ステップ 3. 布でカビを拭き取る
全体にスプレーを吹きかけたら、布を指に巻いてカビを拭き取ります。
コバ(アウトソールが側面に出っ張っている部分)の周辺にカビがびっしりついている場合は、歯ブラシを使ってカビを綺麗に落としましょう。
下の写真では、歯ブラシの代わりに、手近にあった竹のブラシを使用しています。
ウィングチップなど穴抜き加工がされている箇所は、綿棒を使ってカビを拭き取ります。
ステップ 4. 風通しのいいところで乾かす
最後に、靴を乾かします。
靴の中やソールも乾かすため、シューキーパーを抜き、ソールを浮かせるようにして風通しのいいところに放置します。
モールドクリーナーの場合、スプレーを吹いた後 1 週間乾かすことが推奨されています。時間に余裕がある方は 1 週間このまま放置しておきましょう。
カビ取りに使ったお手入れ用品は捨てよう
カビを取るのに使った布や歯ブラシ、綿棒などは使い終わったら捨てましょう。別の靴の手入れなどに使ってしまうと、そちらにカビが移ってしまいます!
ビフォーアフター
下の写真は、手入れ前と手入れ後の靴を比較したものです。
びっしりとついていたカビが綺麗に落ちました!目には見えませんが、スプレーに含まれる防カビ効果のおかけで、カビが再発生するリスクも減りました。
除菌スプレーで綺麗にしたあとは、革の表面がパサついたような状態になり、ツヤがなくなります。乳化性クリームを塗って、保湿とツヤ出しをするようにしましょう。
おすすめの乳化性クリームや使い方など、下の記事でご紹介しています。よければ参考にしてみてください。
革靴にカビが生えるのを予防する
モールドクリーナーなどの除菌スプレーには防カビ効果がありますが、その効果もずっと続くわけではありません。
除菌スプレーに加えて、以下の予防策をおこなうと、カビ発生のリスクをさらに抑えることができます。
カビの予防策 1:履いたらブラシで汚れを落とす
まず大切なのは、履いたらブラシで汚れを払い落とすことです。
一日履いたあと靴をよく見ると分かりますが、表面には泥やホコリなどの汚れが付着しています。
汚れはカビの栄養になるので、その日の汚れをブラシで払い落とすようにしましょう。
ブラッシングについては、下の記事でも解説しています。動画も付けているので、参考にしてみてください。
カビの予防策 2:下駄箱にしまう前に乾かす
靴を下駄箱にしまう場合は、脱いですぐではなく、1 〜 2 日風通しのいいところで乾かしてからしまうようにします。
履いた直後は靴の中に汗が染み込んでしまっているので、湿度が高くカビが生えやすい状態になっています。
乾かす前にしまうと下駄箱の中の湿度が高くなり、他の靴にもカビが発生する可能性が高くなります。
1 〜 2 日しっかりと汗を乾かしてから下駄箱にしまいましょう。
カビの予防策 3:下駄箱にすのこ or 編みを敷く
靴の下にすのこか網を敷くのも、カビ予防に効果的です。
実は、靴のなかで最もカビが発生しやすいのは、底面(アウトソール)です。
そのまま置いておくと、地面や床に触れたままになるため、湿気が残りカビが生えやすいです。
すのこや網を敷いて靴の底面の通気性を確保しておくと、よりカビが発生にしにくくなります。
また、シーズンものの靴等を長期で保管する場合には、下の記事を参考に、カビ対策をおこなった上で保管するようにしてみてください。
おわりに
この記事を読んで、カビまみれだった靴が綺麗になり、さらにカビを予防して快適な革靴ライフを楽しんでいただけると嬉しいです。
ちなみに、ヨーロッパやアメリカではカビの発生する条件の一つである湿度が低いので、日本と比較してカビが生えることが少ないそうです。
羨ましい限りですが、湿度の高い日本に住んでいる限り、カビとうまく付き合っていくほかありません…
しっかりとカビに対処しつつ、革靴を楽しみましょう!