靴の手入れの必須アイテム “ブラシ”。
購入したての頃は毛先がサラサラしていますが、何度か手入れに使用した後に毛先に触れると、感触が変わっていることに気がつきます。クリームが固まっていたり、ワックスでしっとりしていたりして、新品だった頃の毛先のサラサラ感がなくなっているのです。そんなとき、ふと起きる疑問。
「ブラシは洗った方がいいのだろうか?」
私自身、どうすればいいか分からず、困りました。ブラシの種類を解説しているサイトはたくさんありますが、ブラシ自体のお手入れまで解説しているところはあまりなかったのです。
そこで、今回は「ブラシを洗った方がいいのか?洗わない方がいいのか?」を調べて種類別にまとめてみました。また、洗ったほうがいいブラシについては、簡単な洗い方も解説します。
この記事のもくじ
ブラシ別に解説!洗う?洗わない?
ブラシの洗う、洗わないは「用途」によって判断します。「豚毛ブラシは洗うのか?」「馬毛のブラシは??」といった具合に、ブラシの毛の種類で判断するわけではありません。
同じブラシでもホコリを落とすのに使うのと、クリームをなじませるのに使うのとでは、毛先の状態が全然違ってきます。また、用途によっては、洗わずに使い続けたほうがいい場合もあります。
ブラシの「洗う?洗わない?」の判断は毛の種類ではなく、用途で判断するようにしましょう。
ホコリを落とすブラシ
ホコリまみれの靴を手軽に一瞬で綺麗にすることができる、お手入れの基本中の基本ともいえるブラシ。毛先が細くて柔らかく、よくしなるという特徴から馬毛のブラシが使われることが多いです。
このブラシは、洗わなくても大丈夫です。
ホウキのようにササッと表面のホコリを落とすだけなので、毛先にクリームやワックスがこびりついてしまうことがありません。ホコリや砂利が毛先に絡まってしまったときは、手でパパッと払い落とすだけで十分です。
クリームを塗るペネトレイトブラシ
手を汚さずにクリームを全体に塗り込める便利なアイテム、ペネトレイトブラシ。馬毛に比べて一本一本の毛が太く、硬くてコシがあるという特徴から豚毛のブラシがよく用いられます。
このブラシは、洗います。
何度か使用すると、乳化性クリームが毛先についてカチコチに固まります。固まると、毛先が束になってしまい、とても使いづらくなります。たとえるなら、糊で固められた新品の筆のような状態になります。
「毛先が固まって使いにくいな」と思ったら、クリームを洗い落としてしまいましょう。
また、ペネトレイトブラシはクリームの色ごとに使い分けるのが基本ですが、新しく購入したクリームを使うとき、以前と同じ色あいのクリームであれば、同じブラシを洗って使うこともできます。
「新しいクリームだからブラシも一度きれいにしておきたいな」というタイミングで洗うのもいいでしょう。
記事の後半で洗い方をご紹介します。
クリームをなじませるブラシ
クリームを全体に、均一になじませるブラシ。ペネトレイトブラシと同様に、豚毛のブラシが多く、色ごとに使い分けられます。
こちらのブラシは、逆に洗わないほうがいいです。
ペネトレイトブラシのように直接クリームをとるわけではないので、毛先にクリームがべっとりついて固まることがありません。むしろ、洗わずに使い続けることで、ブラシが「育ち」ます。
使っていると、クリームやロウ成分が少しずつ毛先に付着していきます。洗わずに使い続けることで、クリームを塗らなくても、毛先についたクリームやロウ成分だけで艶が出るようになります。これをブラシが「育つ」と言います。
洗ってしまうと、せっかく育ったブラシがもとに戻ってしまいます。
仕上げに使用するブラシ
靴磨きの最後の段階、仕上げの艶出しに使用するブラシ。豚毛や馬毛と比べて、毛先が圧倒的に柔らかい山羊毛のブラシなどが使われます。
こちらのブラシも洗わないほうがいいです。
クリームをなじませるブラシと同じく、クリームがべっとりついて毛先が固まることはありませんし、使い続けることでブラシが「育ち」ます。
また、仕上げ用のブラシは、毛先の柔らかさがキモ。洗ってしまうと、毛先の柔らかさがなくなってしまう可能性があるので、洗わないようにしましょう。
ペネトレイトブラシの洗い方
さて、「洗うべきブラシはクリームを塗るペネトレイトブラシ」ということがわかったので、つぎはその洗い方を解説します。
ブラシを洗う前に用意するもの
洗う前に以下のものを用意します。
お湯を張った洗面器
40℃ くらいのお湯を張った洗面器を用意します。
お湯で古いクリームが溶けやすくなります。
洗面器がなければ、洗面所のボウルにお湯を張ります。
ワックスやビンの蓋
油性ワックスや乳化性クリームのビンの蓋を用意します。
これがあると、お手軽にブラシを綺麗にできます。
なければ、小さめのお皿のようなもので代用しても構いません。
食器洗い用洗剤
どこの家庭にもある、食器洗い用洗剤を用意します。
洗剤を使用すると、毛先についた古いクリームをしっかり落とすことができます。
シャンプーを使う方もいるようですが、シャンプーには添加物が入っているため、ブラシが痛んでしまう可能性があります。できれば、食器洗い用洗剤を使用しましょう。
ブラシを洗う手順
それでは実際の手順をみていきます。
1. ワックスの蓋にお湯をすくい、洗剤を垂らす
まず、洗面器のお湯をワックスの蓋にすくいます。そして、その中に食器洗い用洗剤を一滴垂らします。
2. ブラシをぐりぐり洗う
蓋の上でブラシをぐりぐりします。すると、古いクリームが溶けてきます。
下の写真くらい水が濁ってきたら、お湯をを戻して、もう一度すくいます。
3. 繰り返す
水をすくって、ぐりぐり洗う。これを 5 ~ 6 回ほど繰り返すと、ぐりぐりしても濁りが濃くならなくなってきます。これで、古いクリームが落ちている状態になります。
4. 水分を拭き取り、干す
最後に、ティッシュやタオルでぎゅっと握るように水分を拭き取ります。
しっかり拭き取ったら、ブラシの毛先を上にした状態で干します。
1 日ほど干せば、完全に乾きます。カチコチだった毛先が、もとのサラサラの状態に戻ります。
下の写真が、洗う前と洗った後を比べたものです。洗う前は、古いクリームで毛先が固まって束になっていますが、洗った後は一本一本の毛がしっかり見えます。
まとめ
さいごに、表でおさらいしておきましょう。
ブラシの用途 | 洗う?洗わない? | 理由 |
---|---|---|
ホコリを落とすブラシ | 洗わない | ホコリを落とすだけなので、そもそも汚れないから。 毛先にホコリが絡まったら、手でパパッと払う程度でいい。 |
クリームを塗るブラシ | 洗う | 使い続けると、毛先にクリームが固まって使いづらくなるから。 |
クリームをなじませるブラシ | 洗わない | クリームをなじませるタイミングで使用するので、毛先が固まることはないから。 むしろ、ブラシが「育つ」ので洗わない方が良い。 |
仕上げ用のブラシ | 洗わない | 仕上げのタイミングで使用するので、毛先が固まることはないから。 むしろ、ブラシが「育つ」ので洗わない方が良い。 |
革靴を綺麗に保つために大切なブラシ。「このブラシ、育ってきたかな?」など思いながらブラシを使い続けることができたら、靴磨きもさらに楽しくなりますね!
「ブラシは洗った方がいいのか?」
この記事が、そんな疑問を持った方のお役に立てれば嬉しいです。