革靴の紐の通し方にはいくつかの種類があります。
特に意識したことがない方も多いかもしれませんが、実は紐の通し方を変えるだけで靴の印象はかなり変わります。
革靴のデザインと相性が良い通し方をすれば、見た目がキマって履いたときに気分がぐっと上がるはずです!
この記事では、革靴の紐の通し方の紹介と、靴紐に関するよくある疑問を Q&A 形式でまとめています。
革靴の紐の通し方(フォーマルな革靴向け)
まずはフォーマルな革靴向けの通し方をご紹介します。
フォーマルな革靴向けの通し方には主に「パラレル」と「シングル」という 2 種類があります。
どちらの通し方も紐が並行したような見た目が特徴で、フォーマルな内羽根(オックスフォード)と相性がいいです。
外側から見るとパラレルもシングルも同じように見えますが、内側の紐の通し方に違いがあり、調整のしやすさ、緩みにくさが異なります。
パラレルは締める強さの調整が簡単にできる方法で、シングルは締める強さの調整がすこし面倒ですが、そのぶん一度締めると緩みにくい方法です。
まずは調整しやすい「パラレル」をしてみて、緩みが気になるなら「シングル」にしてみるのが良いと思います。
パラレルの通し方
まずはパラレルの通し方からご紹介します。
(左側の靴の通し方を解説するので、右側を通す場合は逆で考えてください)
はじめに、下の写真のように ①(履き口から一番遠い穴)に紐を通します。
つぎに、左右の紐の長さをだいたい同じくらいに調整して、羽根(紐穴が空いているパーツ)の下で紐を交差させます。
つぎに、① の右側から出ている紐を ② の左側の穴に、裏側から表側に向かって通します。
その後、同じ紐を ② の右側の穴に表側から裏側に向かって通します。
今度は ① の左側から出ている紐を ③ の右側の穴に、裏側から表側に向かって通します。
その後、同じ紐を ③ の左側の穴に表側から裏側に向かって通します。
同じ要領で、② の右側から出ている紐を ④ に通します。
最後に、③ の左側から出ている紐は ⑤ の右側へ、④ の右側から出ている紐は ⑤ の左側へ、裏側から表側に通します。
パラレルの緩め方・締め方
緩めるときは、③ と ④ に通っている紐を緩めます。
脱ぎ履きする分には、この箇所だけで緩めれば十分です。
締めるときは、まず ③ と ④ の緩めた紐に指をかけ、ギュッと引っ張ります。
そのあと、⑤ から出ている紐を引っ張って締めます。
シングルの通し方
次に紹介するのは、シングルの通し方です。
こちらも左側の靴で解説するので、右側の靴の紐を通す場合は逆で考えてください。
まず、下の写真のように ① (履き口から一番遠い穴)に紐を通して、羽根(紐穴が開いているパーツ)の下で交差させます。
このとき、左か右のどちらかを長くしておきます。(解説では、右側の ① に通した方を長くしています)
どちらかの長くした方の紐を、羽根の裏側から表側に向かって ② に通します。
通した紐を、対になっている ② の穴に表側から裏側に向かって通します。
あとはその繰り返しで、③ と ④ にも紐を通していきます。
最初に長くしておいた方の紐で、グルグルと巻き上げていくようなイメージです。
最後に、⑤ に紐を通して結べば完成です!
シングルの緩め方・締め方
シングルを緩めるときは、④ → ③ → ② という順番で緩めていきます。
② まで緩めれば十分脱ぎ履きができます。
締めるときは、③ → ④ という順番でひとつずつ締めていきます。
革靴の紐の通し方(カジュアルな革靴向け)
つぎにカジュアルな革靴向けの通し方をご紹介します。
カジュアルな革靴向けの通し方には、「オーバーラップ」と「アンダーラップ」の 2 種類があります。
パラレルやシングルとは異なり、外側から見たときに紐がクロスしているのが特徴で、カジュアルな外羽根(ダービー)と相性がいいです。
オーバーラップはしっかり目に締めることができる通し方。逆に、アンダーラップは足への圧迫感が少ない通し方です。
靴を履くときは、なるべく靴紐をギュッと締められたほうが足がしっかりと固定されるので、オーバーラップのほうが基本的な通し方になります。
オーバーラップを試してみて足への圧迫感が強く感じる場合は、アンダーラップを試してみてもいいかもしれません。
オーバーラップの通し方
では、オーバーラップの通し方からご紹介します。
(これまでと同様、左側の靴で通し方を解説するので、右側の靴の場合は逆で考えてください)
まず、下の写真のように ①(履き口から一番遠い穴)に紐を表側から裏側に通し、交差させます。
このとき、左右の紐の長さが同じになるように調節してください。
つぎに、交差させた紐をそれぞれ ② へ、表側から裏側に向かって通します。
通し終わったら再度紐を交差させます。
同じ要領で、③ と ④ にも通していきます。
最後の ⑤ は裏側から表側に向かって通し、結べば完成です。
オーバーラップの緩め方・締め方
オーバーラップを緩めるときは、④ → ③ という順番で緩めます。
③ まで緩めれば羽根がしっかり開くので、じゅうぶん脱ぎ履きができます。
締めるときは、③ を締めてから ⑤ から出ている紐をギュッと引っ張ります。
サラサラとした質感の紐であれば、⑤ から出ている紐を引っ張るだけで全体をしっかり締めることができます。
アンダーラップの通し方
最後に、アンダーラップの通し方を紹介します。
まず、下の写真のように ①(履き口から一番遠い穴)に紐を通して交差させます。
オーバーラップと違い、羽根(紐穴が開いているパーツ)の裏側から表側へ向かって紐を通すのがポイントです。
つぎに、交差させた紐をそれぞれ ② の穴に裏側から表側へ向かって通します。
通し終わったら再度紐を交差させます。
同じ要領で、③ と ④ にも通していきます。
最後に、⑤ に通して結べば完成です。
アンダーラップの緩め方・締め方
アンダーラップを緩めるときは、④ → ③ という順番で緩めていきます。
オーバーラップと同じく、③ まで緩めれば脱ぎ履きができます。
締めるときは、③ を締めてから ⑤ から出ている紐をギュッと引っ張ります。
サラサラとした質感の紐であれば、⑤ から出ている紐を引っ張るだけで全体をしっかり締めることができます。
革靴の靴紐に関する Q&A
最後に、革靴の靴紐に関してよくある疑問を Q&A 形式でまとめて紹介します。
Q. ほどけにくい靴紐の結び方はある?
紐の結び方は「蝶々結び」が一般的ですが、紐の素材や質感によっては蝶々結びだとほどけやすいことがあります。
そんなときは、「イアンノット」や「ベルルッティ結び」などのほどけにくい結び方をしてみるのがおすすめです。
イアンノットやベルルッティ結びをすると、普通の蝶々結びよりもほどけにくくなります。
また、結び目の形が蝶々結びとは異なるので、ちょっとおしゃれな感じも出すことができます。
結び目がほどけてしまうというときは、ぜひ試してみてください。
Q. 靴紐ってどんな種類がある?
靴紐の形には種類があり、「丸紐」と「平紐」があります。
文字通り、丸紐は丸い形で、平紐は平たい形をしています。
一般的には、平紐のほうが甲の部分を優しく押さえて圧迫感が少ないと言われています。
ただ、個人的にはあまり違いはないと思うので、見た目の好みで選ぶのが良いと思います。
余談ですが、平紐はくるくるとねじれるので、ちょこちょことねじれを直すのが面倒だという方は丸紐がおすすめです。
Q. おすすめの靴紐は?
個人的におすすめの靴紐は、「Strupai(ストゥルパイ)」と「紗乃織靴紐(さのはたくつひも)」です。
「Strupai(ストゥルパイ)」はイタリア・ミラノの靴紐メーカーで、網目が細かく繊細な雰囲気があるのが特徴です。
見た目の美しさから、日本やヨーロッパのビスポークによく採用されています。
使い始めはツルツルとしていますが、何度か使うと少し毛羽立ってカッチリと締まるようになります。
日本では、富山県にあるセレクトショップ「AZALEA」で取り扱いがあります。
「紗乃織靴紐(さのはたくつひも)」は日本の靴紐ブランドで、職人の手編みによる力強い印象が特徴的です。
紐の表面にワックスがついており、結ぶとそう簡単にはほどけません!
見た目の良さとガッチリ締まる機能性から、持っている革靴を全部このブランドの靴紐にしているヘビーなファンの方もいるようです。
ほどけにくい靴紐をお探しなら、ぜひ Strupai や紗乃織靴紐を試してみてください。
Q. 靴紐はずっと結びっぱなしでもいい?
靴紐は、脱ぎ履きするたびにちゃんとほどくようにしてください。
靴紐を結んだままで脱いだり履いたりすると、かかとが潰れてしまうことがあります。
かかとが潰れると、かかとの中に入っている「芯材」というパーツの形が崩れて見た目が悪くなり、履き心地も悪くなります。
長く履き続けるために、脱ぐとき履くときには、ちゃんと靴紐を解きましょう。
もし靴紐を結んだままで脱ぎ履きできるのであれば、しっかりと締まりきっていない可能性があります。
しっかりと靴紐が締まっていないと、履き心地が悪かったり靴擦れしやすかったりするので、しっかり締めるように心がけましょう!
おわりに
靴紐は使うにつれてどんどんと毛羽立ってきて、靴全体が古びた印象になってきます。
靴紐を変えるだけでも靴の表情はグンと良くなるので、定期的に靴紐を交換するのがおすすめです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。