この記事は Justin FitzPatrick による The Shoe Snob Blog の記事 “THINGS TO KNOW ABOUT SHOES PART 5: 41-50” を翻訳したものです。翻訳を快諾してくれた Justin に感謝いたします。また、内容は多少の意訳を含んでおり、翻訳に際して私のミスがある可能性も十分にご了承ください。もし間違いがありましたら、Twitter 等でご指摘いただけると嬉しいです。
#41
多くのヨーロッパの有名靴ブランド(衣類も)は、自分たちの商品は自国で作られていると宣伝していますが、製造の約 80% を中国やインドに委託して、最後の仕上げだけを自国でおこない、”Made in Europe” として販売しているのです。世の中は嘘まみれです。
#42
トゥスチールは、不必要なソール交換を避けるために必要不可欠です。あなたがトゥをすぐにだめにしてしまう(歩く時につま先に力を入れて過ぎてしまう)人であれば特にです。トゥスチールはうるさい音が鳴ることはありません。大理石の床を傷つけてしまうことはありますが(もしあなたが持っていればの話です)。
#43
ミュージアムカーフという言葉は、ジョンロブによって作られた言葉で、イルチア社(イタリアのタンナー)の「Radica(ラディカ)」という革を指しています。Radica は、イルチア社が手塗りをしなくても大理石模様を表現できるように作った、パティーヌのような見た目のドラム染色の革です。他のドラム染色の革と同じく永久的な染色です。他の革と同じように磨くことができます。
#44
ヨーロッパでシダーのシューツリーを使う人はほとんどいません。シダーのシューツリーが最高のものであるという神話は、アメリカの頭のよいマーケティング部の人たちよって作られました。なぜなら、アメリカにはシダーの木が豊富にあるから(そして、豊富なために安価に製造できるから)です。誇大広告を信じてはいけません。ブナやライム、ハンノキ等と違いはありません。いくつかは他のものよりも重いので、その点だけは靴を履く人にとって重要な点になりますが、吸湿力はどれもほとんど同じです。
#45
ヒドゥンチャネルのソールは、とてもエレガントな見た目ですが、ときに人を困惑させるような欠点も持っています。
グッドイヤー・ウェルト製法の靴には 2 種類のレザーソールがあります。ひとつは、縫い目が見えているオープンチャネル、もうひとつは、縫い目が見えないヒドゥンチャネルです(より手間がかかるため、大抵より高価になります)。ヒドゥンチャネルを作るには、ソールに切り込みを入れ、切り込んだ部分の革を起こし、チャネルを露出してソールを縫いつけていきます。ソールを縫いつけたあとは、切り込みを入れた部分を伏せて接着することで、「ヒドゥンチャネル」に仕上がります。ただ、その美しさに満足している間に、時々切り込みを入れた部分がはがれてしまって、チャネルがむき出しになってしまうことがあります(接着剤でくっついているだけなので)。
水分により接着がはがれてしまうため、湿度が高くて雨が多い気候では非常に起こりやすいです。まったく起こらないときもあれば、一回目の着用で起きてしまうときもあります。ただ、起きたからといってソールの寿命が短くなるわけではありません。ようするに、オープンチャネルになるだけです(見た目はよくありませんが)。
#46
スエード革の毛羽立ちが目立つようになったら、焼いて元に戻すために、ヘアドライヤーを使って至近距離で熱風を当てるようにします。ただし、明るい色のスエードは焦げないように注意してください。
#47
パラレルは、アメリカでよく見られるアンダーラップに比べると、ドレスシューズをエレガントに見せてくれるだけでなく、よりしっかりと靴紐を締めることができます。一度慣れれば、簡単なものです。思い切ってスニーカー用の結び方から卒業して、ドレスシューズ用の結び方をしましょう。
#48
ミンクオイルが革に悪いと言っている人は、自分が何について話しているのかわかっていません。彼らは単に使いすぎているだけです。他のシューケア用品だって使い過ぎれば悪影響がでます。少量で十分なのです。このモットーは、靴を扱うときには常に覚えておくべきです。
#49
ソールの側面やアッパーとソールの縫い目にあたるウェルトの部分をきれいに保つ良い方法は、古い歯ブラシを使うことです(特にスエードの靴の場合)。コバの仕上げ剤は必要ありません。コバの仕上げ剤を使わなくても、良質な油性クリームでソールの縁まで問題なくきれいになります。
#50
お金を無駄遣いしないためにいくつか知っておくといいことがあります。もしあなたがタンカラーの靴を毎度(汚れやほこり等で)だめにしてしまうのであれば、暗めのブラウンか黒に染めるようにしましょう。ジャーン!新品の靴のできあがり。