あなたが履いている革靴、ところどころ色落ちしていませんか?
もし色落ちが目立つようなら、自分で簡単な補修をして新品のような綺麗な色を取り戻してみてはいかがでしょう。
この記事では、革靴の色落ちを補修する方法や色落ちの防止策を紹介します!
色落ちの例
革靴が色落ちする主な原因は「すり傷」や「乾燥」が考えられます。
下の写真は「すり傷」による色落ちの例です。
例の写真の靴を見ると、つま先あたりにすり傷がついて白っぽく色あせているのが分かります。
続いて下の写真は「乾燥」による色落ちの例です。
革がカラカラに乾いて(写真では分かりづらいですが)色あせてしまっています。
これらの色落ちは、色付きのクリームを使って補色することできれいな状態に戻すことができます。
「深いすり傷」による色の剥がれを補修したい場合
下の写真のように表面がガリっと削れたような深いすり傷による色の剥がれは、この記事で紹介している方法では補修はできません。
深いすり傷による色の剥がれの補修方法は「革靴の傷を自宅で簡単 & 綺麗に補修する方法(擦りキズ、えぐれ、へこみなど)」で紹介しています。
表面が削れて色がなくなっているようなときは、上記の記事を参考にして補修してみてください。
革靴の色落ちを補修する方法
革靴用のクリームには無色のものと色付きのものがあります。
このうち、色付きのクリームを使って色落ちした部分に色をつけることで色落ちを綺麗に直します。
ここからは、下の写真の靴を使って詳しい補修の方法を紹介していきます。
赤丸で囲ったシワの部分が乾燥によって色落ちしており、つま先や羽根(靴紐が通る穴がついているパーツ)といったほかの部分に比べて色が薄くなっているのが分かります。
また、ヒールの部分にはすり傷による色落ちもあります。
この見出しの最後には、手入れをする前と後のビフォー・アフター写真を載せているので、どれぐらい綺麗になったかもご覧ください。
用意する道具
色落ちの補修には、色付きのクリーム以外にもいくつか用意しておく道具があります。
たとえば、革の表面に汚れがついたまま色付きクリームを塗ると、クリームと一緒に固まってきれいに仕上がらないので、事前に「馬毛ブラシ」や「クリーナー」を使って汚れを落とします。
クリームをなじませるための「豚毛ブラシ」や、仕上げに磨いて艶を出すための「布」など、ほかにも使う道具があります。
では、順にご紹介します。
シューキーパー
まず、靴の形をしっかり保って作業をしやすくしてくれる、シューキーパーを用意します。
シューキーパーを靴の中に入れることで、革がピンっと張ってクリームが塗りやすい状態になります。
シューキーパーには、履いていないときに入れておくことで、ソールの反りを直して型崩れを防止する効果もあります。
馬毛ブラシ
靴についたホコリやチリなどを落とすのに使う馬毛ブラシを用意します。
馬毛は毛先がほどよくしなるため、ホウキのような要領でゴミを払い落とすことができます。
クリーナー
馬毛ブラシで落としきれない細かいゴミを拭き取るために、クリーナーを用意します。
クリーナーは、革に優しいモゥブレィのステインリムーバーがおすすめです。
色付きクリーム
色落ちを直すために使う色付きのクリームを用意します。
黒い革靴であれば黒いクリーム、茶色い革靴であれば茶色のクリームなど、靴の色にあわせて色を選びましょう。
クリームは大きく分けて「油性」と「乳化性」の 2 種類があり、このうち「乳化性」のクリームがおすすめです。
乳化性クリームには水分と油分が含まれており、これを塗ると革に水分と油分が浸透して、色落ちの原因となる乾燥を防いでくれます。
つまり、色付きの乳化性クリームを使うことで、色落ちの「補修」と「予防」を同時におこなうことができます。
色選びのコツ
クリームの色は、靴の色に厳密に合わせないといけないわけではありません。
靴の色とだいたい同じくらいか、ちょっと明るめの色を選べば問題なく使えます。
クリームを塗っても絵の具のようにべったりと色がつくわけではなく、水墨画のようにボンヤリと色がつきます。
したがって、靴とクリームの色が多少違っても大した影響はありません。
ちょっと明るめの色を選ぶ理由は、クリームが革に浸透すると若干暗くなり想像よりも色が濃くなってしまう場合があるからです。
ただ、色合いは合わせておいたほうが自然な仕上がりになります。
たとえば、一言で茶色といっても、赤っぽかったり黄色っぽかったりします。
この色合いが靴の色とクリームで異なると、塗ったときに色ムラができて不自然な仕上がりになります。
色の詳しい選び方は「革靴用のクリームの色の選び方、クリームの使い方と落とし方の解説」で紹介しているので、色選びに悩んだときは参考にしてみてください。
ペネトレィトブラシ
クリームを塗るのにペネトレィトブラシを用意します。
手を汚さずにクリームを塗ることができるので、あると便利です。
この記事では、ペネトレイトブラシを使ってクリームを塗る方法を紹介しますが、代わりに布で塗ることもできます。
豚毛ブラシ
クリームをムラなく伸ばすための豚毛ブラシを用意します。
豚毛は毛先がほどよく固く、ブラッシングするとクリームを均一に伸ばすことができます。
布
仕上げに磨いて艶を出すために、布を用意します。
使い古した T シャツでも代用できます。
手順
必要な道具を用意できたら、作業にとり掛かります。
作業にかかる時間は両足で 10 分程度です。
手順 1. シューキーパーを入れる
まず、靴にシューキーパーを入れます。
シューキーパーを入れることで、シワがピンと伸びて手入れがしやすい状態になります。
手順 2. 馬毛ブラシでゴミを払い落とす
馬毛ブラシで靴全体をブラッシングし、靴についたゴミを払い落としておきましょう。
すこし力を入れて、ガシガシとブラッシングするのがコツです。
手順 3. クリーナーで汚れを落とす
布を指に巻いて、クリーナーを 10 円玉くらいの大きさに染み込ませます。
クリーナーを染み込ませた布で、靴を拭いていきます。
あまり力を入れすぎると傷がつくので、優しくなでるように拭くのがコツです。
1 度では全体を拭ききれないので、2、3 度クリーナーを布にとって全体を綺麗にします。
手順 4. 色付きクリームで補色する
次に、ペネトレィトブラシにクリームを取って靴に塗っていきます。
1 度にとるクリームの量は、米粒 1 つぶんくらいが目安です。
色落ちが気になる部分だけに塗るとムラになることがあるので、 2、3 回クリームをとって全体にまんべんなくクリームを塗ります。
この時点で、クリームの色成分が革に浸透して色落ちがなくなっている状態になります。
まだ色落ちが目立つようであれば、再度クリームを塗り込んでいきます。
手順 5. 豚毛ブラシで色付きクリームをなじませる
豚毛ブラシでブラッシングし、塗ったクリームを均一に伸ばします。
少し力を入れてガシガシとブラッシングするのがコツです。
この時点で、少しだけツヤが出てきます。
手順 6. 布で磨いて艶を出す
最後に布で磨きます。
余分なクリームを拭き取るようなイメージで、少しだけ力を入れて磨くのがコツです。
これで補修は完了です!
#### ビフォー・アフター
下の写真は、補修する前と後を比べた写真です。
補修前は色があせていますが、補修後にはまるで新品のような発色になりました!
また、ヒールにあったすり傷による色落ちも、クリームの色がついたことで綺麗になっています。
革の種類や仕上げによっては、色落ちがなくならないことも
たいていの色落ちは今回ご紹介した方法で補修できます。
そのため、基本的には修理店などに持ち込む必要はないと思います。
ただ、革の種類や仕上げによっては、この記事で紹介している補修の方法をしても色落ちがなくならないことがあります。
まずはこの記事で紹介している補修の方法を試して、もし色落ちがなくならない場合は修理店に相談してみてください。
「靴専科」という靴のクリーニング店が補修サービスもしてくれるようです。
「リ・カラー&撥水加工」という色の染め替えサービスもしてくれるようなので、補修ついでに靴の色をガラッと変えてみても楽しいかもしれません。
革靴の色落ち防止策
革靴の色落ちは、その原因となる「すり傷」と「乾燥」から守ることである程度予防することができます。
「乾燥」から守るためには、こまめに乳化性クリームを使った手入れをします。
月 1 回ほど乳化性クリームを塗って革に潤いを与えていれば、色落ちのない綺麗な発色を長く保てるはずです。
「すり傷」から守るには、乳化性クリームを塗った後、ワックスを使った鏡面磨きをするのがおすすめです。
鏡面磨きでは、ワックスで革をコーティングします。このワックスのコーティングが、革を傷から守ってくれます。
鏡面磨きの方法は別記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
おわりに
革靴のすり傷や乾燥は予防をしていても完全に防ぐのは難しく、ある程度の色落ちは仕方がないことです。
色落ちが目立つようなら補修をして綺麗にしたほうがいいと思いますが、普段は色落ちにあまり神経質になりすぎず、革靴の一つの味として色落ちを楽しんでみてもいいかもしれません。